1. はじめに

このたびは、ヤマハ パワーアンプリファイアーPC-D/DIシリーズ(下記ラインナップ表参照)をお買い求めいただきまして、まことにありがとうございます。本製品は、ホールや教会などの固定設備や屋内外のスピーチやライブなどで使用するパワーアンプリファイアーです。この取扱説明書では、施工担当者や設備設計者向けに設定と設置方法を説明しています。本製品のさまざまな機能を十分にご活用いただくために、ご使用の前にこの取扱説明書を必ずお読みください。また、お読みになったあとも、大切に保管してください。

note NOTE

  • イラストは特にことわりがない場合、PC412-D、PC406-Dのものを使用しています。

PC-D/DIシリーズラインナップ

出力仕様 スタンダードモデル(-D) 設備用モデル(-DI)

1200W×4

PC412-D

PC412-DI

600W×4

PC406-D

PC406-DI

1.1. 記号表示について

本製品や取扱説明書に表示されている記号には、次のような意味があります。

記号 内容

caution 警告

死亡する可能性または重傷を負う可能性が想定される内容です。

caution 注意

傷害を負う可能性が想定される内容です。

important 注記

故障、損傷や誤動作、データの損失の発生が想定される内容です。

note NOTE

操作や運用に関連した情報です。参考にお読みください。

1.2. 取扱説明書の記載内容に関するお知らせ

  • この取扱説明書に掲載されているイラストや画面は、すべて説明のためのものです。

  • Windowsは、米国Microsoft Corporationの米国およびその他の国における登録商標です。

  • 本書に記載されている会社名および商品名等は、各社の登録商標または商標です。

  • ソフトウェアは改良のため予告なしにバージョンアップすることがあります。

1.3. 特長

  • 高音質と高出力を両立した4chパワーアンプ

  • PEQやFIRフィルターなど、多彩な信号処理機能を内蔵

  • 20×8のマトリクス機能によりフレキシブルな音声ルーティングを実現

  • Danteネットワークによる高品位なデジタルオーディオ伝送が可能

  • ProVisionaire Amp EditorやProVisionaire Controlなど、システム設計時、運用時などフェーズに応じた様々なソフトウェアに対応

  • ハイインピーダンス接続とローインピーダンス接続の両方に対応 (PC-DIシリーズのみ)

1.4. 付属品

  • 電源コード×1

  • ハンドル×2

  • グリル L×1

  • グリル R×1

  • フィルターエレメント L×1

  • フィルターエレメント R×1

  • ハンドル用 小ネジ(M5×12mm)×4

  • GPI用ユーロブロックプラグミニ(8pin)×2

  • アナログインプット用ユーロブロックプラグ(3pin)×4 (PC-DIシリーズのみ)

  • スピーカーアウトプット用ユーロブロックプラグ(8pin)×1 (PC-DIシリーズのみ)

  • 結束バンド×4 (PC-DIシリーズのみ)

  • 2芯-3芯変換アダプター (PC406-D、PC406-DIのみ)

  • クイックスタートガイド

1.5. マニュアルの構成

  • クイックスタートガイド(製品に同梱)
    設置や基本的な使用方法などを説明しています。

  • 取扱説明書(本書)
    設定や操作に必要なすべての項目を説明しています。

  • ProVisionaire Amp Editorセットアップガイド(HTML)
    本製品をコンピューター上でコントロールするソフトウェアProVisionaire Amp Editorの操作方法を説明しています。

1.6. ProVisionaire Amp Editorについて

ProVisionaire Amp Editorは、本製品を含むネットワーク対応アンプ(XMVシリーズなど)をコンピューター上でシステム構築、モニターまたはコントロールするためのソフトウェアです。ProVisionaire Amp Editorを使用すると、接続されている複数の機器を一括してモニターまたはコントロールできます。
ProVisionaire Amp Editorはヤマハプロオーディオサイトからダウンロードできます。
http://www.yamahaproaudio.com/

1.7. ファームウェアのアップデート

本製品は、操作性向上や機能の追加、不具合の修正のために、本体のファームウェアをアップデートできる仕様になっています。本製品のファームウェアには、下記の2つがあります。
• 機器本体のファームウェア
• Danteモジュールのファームウェア

機器本体のファームウェアのアップデートは、ProVisionaire Amp Editorから行ないます。Danteモジュールのファームウェアのアップデートは、Dante Firmware Update Managerから行ないます。

アップデートの手順や本体の設定については、「ProVisionaire Amp Editorセットアップガイド」をご参照ください。

note NOTE

  • Danteネットワーク内の各機器のバージョンによって、他の機器のアップデートが必要になります。詳細は、上記ヤマハウェブサイトに用意されているファームウェアの互換表をご参照ください。

1.8. PC-D/DIシリーズの信号処理

PC-D/DIシリーズは、INPUT、USER、SPEAKER PROCESSORの3つのブロックで構成されています。INPUTでは経路設定をし、USER EQとUSER DELAYで音響調整を行ないます。SPEAKER PROCESSORでは、スピーカーに適した音響調整を行ないます。

amp signal all big

それぞれの処理については、「 PROCESSING画面 」の各項目を参照してください。

1.9. 入力感度とアンプゲイン

PC-D/DIシリーズは、入力感度/アンプゲインの設定を、2種類の入力感度または2種類のアンプゲインから指定できます。入力感度は、最大出力が得られる入力信号のレベルのことです。入力感度以上の信号を入力すると、PC-D/DIシリーズの内部でリミッターがかかります。ボリュームを絞ると入力感度は上がり、アンプゲインは下がります。最大出力はボリュームを絞っても変わりません。
たとえば、PC412-Dではアンプゲインを32dBに設定すると、最大出力は1200Wで、入力感度は+10dBuになります(スピーカーインピーダンスが8Ωの場合)。ボリュームを絞っていないとき(0dB)、入力+10dBuで出力1200Wが得られます。ボリュームを10dB絞ると、PC412-Dの入力感度は+20dBu(=+10dBu+10dBu)となり、アンプゲインは22dB(=32dB-10dB)になります。+20dBuを入力すると最大出力1200Wが得られます。

■PC412-Dのアンプゲインの設定が32dBのとき

gain sense